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第25回 相続対策の基本的な考え方「相続税対策」について①

2023.07.20

いきなりですが、あなたに質問です。
相続税は他の税金とは明確に異なる点があります。
その違いをご存知ですか?

こんにちは!相続未来図の志田です。

志田農園は夏野菜の収穫最盛期を迎えております。

娘は青々としたキュウリくんを見て、
キュウリくんは食べて欲しそうだと思ったのでしょうか。
「食べたいー」「とるー」とバタバタし出したので、
キュウリくんを娘に持ってもらいハサミでヘタをチョキン。
埃を払って先端をパキっと折り
私「はい、どうぞ」
娘「……(匂いをふんふんかいで)……
       いななーい(いらなーい)」

キュウリが好きな大人であれば
だれでも夏を思い出すあの香り…
2歳児にはまだ大人の香りだったようです…
2歳児に「食べて欲しいアピール」をしたであろう
キュウリくんは、この夏、甘酸っぱい思い出が
できたことでしょう。

さて、今回は相続税対策についてお話します。
冒頭での質問の答えはお分かりでしょうか。
相続税は他の税金とは種類が違うのです。
約50種類ある税金のうち、あなたが亡くなった後に
自分以外の人が支払う唯一のものが相続税です。

つまりあなたの亡くなった後に
残された大切な人が支払う税金といえます。

所得税や住民税、自動車税など税金を
「もったいないなぁ、もう少し安くならないかなぁ」
と思うのは通知が来た時や支払うときではありませんか?
あなたが相続財産を受け継いだ時にちょっとでも
「相続税もう少し安くならないかなぁ」
と思われた経験はありませんか?
支払う人がもったいないと思わない様に、
前もって準備しておくことが相続税対策
なのだと思います。

【相続税対策はいつから始めるのが良いの??】
以前は相続開始前約3年以内に取得、相続開始後約1年以内に
売却すると、あからさまな相続税の対策とみなされ、
税務調査が入りやすいといわれておりました。
※今回の税制改正大綱によって生前贈与についての
 加算期間が3年から7年に改正されました。
相続税については国税庁が注目している税目になりますので、
以前よりも時間的余裕を持ちたいところですね。
この観点から相続税対策においては、健康なうちに長期的な
視野で対策を考え、実行する必要のある対策
といえます。
ちなみに、相続税対策をご検討される方のご年齢は60歳を
過ぎたころという印象です。

【何をすれば相続税対策になるのか】
地主さんの場合、不動産に限ったお話をすれば、
①「建てる」
②「売って買う」
③「買う」
④「渡す」
という選択肢となります。順番に見ていきましょう。

①建てる
地主さんは建てることについて様々な声がいろいろなところ
からかかります。
我が実家にも、
「志田さん、あの土地にアパートを建てたら相続税が安く
なりますよ」と真夏でもスーツでネクタイを締めている
建築会社の営業マンがしばしば来ていたものです。
当時、大学生だった私は「本当かぁ?」と不思議に思って
おりましたが、いまはその仕組みを知っていますから
よくわかります。
その営業マンがいうことは事実でした。
現金>更地>貸家建付地というように相続税評価は下がって
いきますので、事実、土地の相続税評価は貸家を建てること
で下げることができます。

~貸家建付地の場合の計算式~
自用地評価×(1-借地権割合×借家権割合)×賃貸割合

ただし、この話はあくまで「相続税」だけに
注目した話です。皆さんは
「この土地に建物を建てたら相続税が大幅に減りますよ。」
と言われた時に、
「先祖代々受け継いできた土地は守れるし相続税が減るなら
 一石二鳥だ」

なんて思いませんか?
相続税のみに注目して、とんとん拍子で進めてしまったら…

新築当初は入居者が入り、思った通り賃貸経営は
順調そのもの。
しかし竣工後10年、15年経過したらどうでしょうか。
給湯器が壊れたりエアコンを入れ替えたり、
更には原状回復費用も嵩むようになります。
設備の減価償却が終わり、手元に残るお金が更に減ります。
なるべくお金をかけない様に賃貸経営をしてきたため、
徐々に空室が目立つようになり、さらに収支が悪化…
そろそろ修繕しなければと思うもののこの建物からは
現金がほとんど残らないので借り入れをして修繕する…
修繕したけれど築年数も経ってしまったこととそもそもの
賃貸需要が高くないので満室にならず空室が続く…
借入金の返済も徐々に苦しくなってきた…
せっかく建てたけれど保有しておくにも手間がかかる上に、
手元に残るお金は少ない。
こうなったらいっそのこと、売却しよう。

しかしながら、売却しようとも8部屋中4部屋入居中という
具合に入居者がいると販売価格が思うように伸びないので、
売れたとしても更地価格よりも安く売ることになって
しまった…

こんな苦労ばかりして手元にお金が残らない。
苦労の末に更地での価格よりも安くなってしまうなんて…
そんなことが建築するときにわかっていれば…
両親やおじいちゃんおばあちゃんを責めるわけでは
ないですが、世代が代わるとこんな思いを
感じざるを得ないものです。

この話、嘘のような話ですが、実はよくある話です。

だから「相続税が安くなるのだからいいじゃない。」だけで
貸家を建ててはいけません。

大切な一族の土地に貸家を建てる際に重要なのは、
その土地に賃貸需要があるかどうかです。
賃貸需要があり、収益力に問題が無ければ、
受け継いだ方は安心して賃貸経営できます
から
積極的に建築しましょう。
では賃貸需要のない土地はどうすればいいのでしょう。

本家などの家がある土地は残すべき土地として
最優先になると思いますが、
その土地が当面居住の予定がないところの場合は、
手放すことを選択肢に入れるといいでしょう。
くどい様ですが、相続税対策のために
賃貸需要が無いところに貸家を建ててはいけません。

今回は以上です。
耳が痛い話もあったかもしれませんが、
耳が痛いと思った方は今相談している専門家以外の専門家に
相談する選択肢を持たれてもいいかもしれません。

次回は手放す不動産と保有していく不動産を
どう判断するのか。その判断基準についてお話します。

ほうほう、なるほど。
「手元に残るお金が少ないと感じるアパートがあるな…」、
「うちの計画は大丈夫だろうか」
と気になる方は「相談してみる」・「ご相談はこちら」から
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