こんにちは!相続未来図の志田です。
今回は財産管理の中編、「任意後見制度」「法定後見制度」
についてお話ししていきます。
【高齢者の財産管理制度】
(1)家族の事実上の財産管理
(2)任意の財産管理契約
(3)任意後見制度
(4)法定後見制度
(5)民事信託
(6)日常生活自立支援
(3)任意後見制度
本人(認知症を心配している人)の判断能力があるうちに、
将来、判断能力が不十分な状態になった場合に備えて、
あらかじめ本人が選んだ代理人に代理権を与える契約を
公証人の作成する公正証書で結んでおく制度です。
本人の判断能力が低下した後に代理人(任意後見人)が
契約で決めた事務について家庭裁判所が選任する
「任意後見監督人」監督のもと、本人を代理して契約などを
することによって本人の意思に従った適切な身上保護や
財産管理等の支援を受けることができる様になります。
ちなみに、
任意後見制度には「将来型」「移行型」「即効型」の3つが
あります。
①将来型:将来、判断能力が低下した場合に備えるもの。
②移行型:体力的な衰えや病気などで判断能力が低下する前
から支援が欲しい場合に活用します。
任意後見契約の締結と同時に、任意後見契約の
効力が生じるまでの間の事務を委任する契約
(委任契約)も同時に締結します。
③即効型:すぐに支援が必要な場合に活用します。
契約締結後、ただちに家庭裁判所へ任意後見
監督人の選任を申し立てることを予定している
場合に適しています。
【任意後見制度の特徴】
1.公正証書によって、判断能力が衰える前の本人と
任意後見人候補者との間の契約であること。
2.任意後見監督人の申立ができる人は、
本人・配偶者・4親等内の親族・任意後見受任者です。
3.手続きは契約→判断能力の低下→本人の同意→
任意後見監督人の選任→効力発生の流れです。
4.任意後見人は、親族や友人など好きに決めて良く、
本人が信頼できる人を選びます。
5.本人の自己決定権の尊重と本人の保護の2つが
同時に図れる優れた制度です。
6.契約によって、代理権を与えられたこと
(目録に書かれた内容)しかできません。
任意後見の注意点として、
生前贈与や不動産の売買などの相続対策においては
代理兼目録に記載されていても任意後見監督人と相談して
同意を得なければならないので、ある種ギャンブルに
なります。
また、任意後見においては「あらかじめ」考えておく
という点がポイントです。
(4)法定後見制度
こちらは最初に言っておきますが、
相続対策では絶対に避けたい制度です!
なぜなら法定後見人はほとんどの場合に家族以外の専門家が
つくことになり、成年被後見人(本人)のためにしか財産から
支出できなくなります。
制度としては認知症などの理由で判断能力の不十分な人の
身上保護や財産管理に関する事務処理を、
代理権、同意権・取り消し権が付与された成年後見人が
代行して行い、このような人を保護し、支援するものです。
法定後見には後見・保佐・補助の3つがあります。
この制度の本来の目的は、不動産や預貯金などの財産を
管理、身のまわりの世話のために介護などのサービスや
施設への入所に関する契約締結、遺産分割協議、悪徳商法の
被害からの保護です。
要するに本人を保護するための制度のため、
本人のための支出以外の預金の引き出しや法定相続分以外の
本人に不利益となる遺産分割、不動産の修繕や投資は
できなくなります。本人を保護するためには思い入れのある
土地を職権で売られ、家族の想いを踏みにじられてしまう
こともあります。
このようにほとんど自由が無い上に後見人報酬は
月額2~6万円と安いものではないので事前に対策を講じて
この制度の利用を避けたいものです。
人生100年の時代。
認知症などになってしまった場合、遺言を書くことや
贈与すること、不動産の売買などの対策という対策が
できなくなります。
備えあれば患いなし。万が一のことを想定し、事前準備を
することが重要です。
もちろん準備をして万が一のことが起きなければ◎です
から、財産管理は早めに着手するに越したことはありま
せんね。
しかしながら不動産の売買については任意後見ですと
必ず売買できるという訳では無いため心もとなく、
法定後見では不可能といっても過言ではありません。
では本当に万が一に備えようとした場合は
どうしたらいいのか…?
次回は本人の財産を本人のみならず家族のためにも
使えるようにできる制度「民事信託」について
お話いたします。
ほうほう、なるほど。
「後見制度は知っていたけれど
任意後見なんて知らなかった」「…」
と気になる方は「相談してみる」・「ご相談はこちら」から
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